シャネルは6月1日、セネガルのダカールで行われた22~23年メティエダールコレクションを東京ビッグサイトで再演した。顧客やセレブ、プレスらが招待され、約2200人が来場した。アフターパーティーでは、国内外のアーティストによるライブを開催。翌日は日本の大学生らを招いて、シャネルのキーパーソンによるトークショーも行った。さまざまなカルチャーを融合しながら、クラフトマンシップの価値を発信した。
(青木規子)
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今回のメティエダールコレクションの開催地に選ばれたダカールは、ダンスや音楽、文学、映像といったアートシーンの動きが活発だ。これらはシャネルが大切にしている分野でもあり、セネガルのカルチャーシーンをたたえるユニークな芸術的プログラムとなった。
日本での再演では、セネガルだけでなく、日本の文化も融合した企画が散りばめられた。会場までの道中では、若者たちによる体を使ったプレゼンテーションが行われ、躍動的なイメージで巨大な会場へと誘い、ショーでは故坂本龍一による『戦場のメリークリスマス』の楽曲が流された。日本の学生ダンサーによるダンス、セネガル人ラッパーのNIXによるライブなど、さまざまなアーティストが会場を盛り上げた。
ショーは、70年代スピリットを感じさせるエネルギッシュなイメージ。躍動的な色彩に、ビーズやスパンコールの華やかな刺繍、ツイードの風合いを生かしたフレアパンツのセットアップ、花々を描いた軽やかなドレス。手仕事をちりばめたデニムスタイルも目を引いた。
会場にはパク・ソジュンやクリステン・スチュワートといった世界で活躍する有名人も来場。会場周辺にはファンが集まり、パリ・コレクションさながらのにぎわいとなった。アフターパーティーでは日本のガールズバンドのチャイがパワフルなパフォーマンスで盛り上げたほか、ブラックピンクのジェニーによる生歌が披露された。
学生招きキーパーソンがトークショー 「本物でないものは消えていく」
翌日は、東京芸術大学や慶応や早稲田などの大学とファッション系の専門学校の学生264人を招いてトークショー「シャネルトーク」を開催した。シャネルのブルーノ・パブロフスキープレジデントや、シャネルのサヴォワフェールの拠点「le19M」が抱える刺繍工房モンテックスのアーティスティックディレクター、アスカ・ヤマシタさん、イベントに参加したアーティストやアンバサダーが登壇し、職人技の魅力を語った。
学生からは、ラグジュアリーの未来の在り方が質問された。「フェイクでは駄目。本物でないものは消えていく。ブランドが何を目指しているかを明確にし、それを伝えることが大切」とパブロフスキープレジデントは語った。
トークショーの後は、メティエダールコレクションを間近で見ることができる時間も設けられた。学生たちは作品を手に取りながら、じっくりと職人技を堪能した。