初代尾上眞秀が10歳で初舞台を務める歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」が開かれている。その舞台の特別な引幕「祝幕」の制作を「シャネル」がサポートした。伝統のテアトルジャポネ(日本演劇)に日仏双方にルーツのある初の歌舞伎役者のデビュー、それをシャネルが彩るとありフランスでも話題になっている。
祝幕はシャネルのオートクチュールショーの舞台を手がけるグザヴィエ・ヴェイヤン氏がデザインし、シャネル傘下の刺繍アトリエ、モンテックスのアーティスティックディレクター、アスカヤマシタ氏が制作に当たった。
生成りの生地にレーザーカットしたマルチカラーの直径12センチの円形オーガンザ8900枚をピクセルアートように抽象的かつダイナミックに配し、その中にグレーのシルクオーガンザで音羽家の家紋と眞秀の名前をコーネリーミシンで刺繍。完成まで800時間超を要した。
ヤマシタ氏は「協業のおかげで日仏ハーフの私が眞秀さんの舞台の第一歩を祝うことができた。私のルーツとモンテックスの匠の技がつながり大変うれしい」と喜びを表した。
(パリ=松井孝予通信員)