学生時代にバスケットの選手、以降も体育教師・バスケ指導者として活躍した金成光(キム・ソングァン)さん。プレーで何度も足首骨折し、大学時代からテーピングなどで悩まされた経験から、足首の骨の構造「アライメント」や動き方に強い関心を持っていた。縁あって靴下メーカーに勤務、靴下の製造工程を学ぶと同時に、人間工学や解剖学上の知見を基にした「3本指構造」に着目した。足が地面に無意識に着地した時の足裏・足底の「足の3点の体重移動」に着眼した靴下は、23年に特許(7286041号)を取得する。奈良県大和桜井市にBUDDY(バディ)も設立、「パートナーを探し、日本だけでなく世界にこの靴下を広めていきたい」と意気込む。
(山田太志)
金さんによると、人は歩き方の意識を良くすれば、身体と体幹バランスに良いと思いがちだが、地球には重力・万有引力があるため、足首が無意識に外側を向く(回外)ことが多い。このため、歩行中に地面にかかとの外側から均等に着地することができず、また、左右非対称であるために身体・体幹バランスが加齢とともに徐々に悪化するという。
開発商品は、足裏・足底の「正しい足の3点の体重移動」を考慮している。アスリートがテーピングで使うフィギュア8の概念を応用しながら、金さんが独自に考案・発案した「Thread8」(スレッド8)理論を靴下に応用した。足のアライメントや体幹バランスを整えると同時に、①小指・薬指②中指・人差し指③親指に分けた3本指構造により、地面をしっかりつかみ、安定・安心・安全性が増す。「生活習慣の中で、子供の頃からはいてもらうことで、恐竜のティラノサウルスのように力強い3本指の動きでしっかりと地面を駆ける」こともできるという。
特許取得と併せ、オリジナルブランド「Tiger with wings」(タイガーウィズウィングス)、「進化の時」を商標登録済みで、スレッド8は商標出願中だ。昨年には東西の有力企業とライセンス契約を結び、今年3月からゴルフ用ソックスの販売を開始。一般向けソックスなども幅広く開発しながら、開発商品の裾野を広げていきたい考えだ。
国内特許だけでなく、国際的な特許協力条約であるPCTを158カ国で出願済み。新規性や進歩性、産業上の利用可能性が承認されるなど、高評価を受けている。「これを機に、世界中に広げたい。今年は12月に開催予定のスポーツ展示会ISPOミュンヘンへの出展を検討中で、一緒になって取り組めるパートナー企業を募集」している。