1885年9月11日は、D・H・ローレンスの生まれた日です。『チャタレイ夫人の恋人』で知られる英国の小説家。ノッティンガムシャーのイーストウッドに生をうけています。当時のイーストウッドは炭坑町で、父は坑夫。ただ、母のリディアは教育者で、知性と教養の持ち主だったという。
代表作の『チャタレイ夫人の恋人』がパリで出版されたのは1928年のことです。ロレンス自身は30年3月2日に世を去っています。つまり、最晩年の作というわけです。主に書いたのは、イタリア・フィレンツェ近くの貸別荘で。長く苦しめられた結核に侵されながら。
短編の著作に『サムソンとデリラ』があります。この中に「軍曹を見ていた兵士たちの一人が目を落とし、ズボンつりを二番目のボタンにはめて引き締めた」。そういえば、昔はベルトよりズボンつりが一般的でした。アメリカで言うところのサスペンダー。英国で言うところの「ブレイシーズ」。たまには昔に帰ってブレイシーズもいいものです。(服飾評論家・出石尚三)