韓国の子供服をECで販売する人が増える中、着実に事業を拡大している店がある。秋田友香さんが16年に始めた「びすく」だ。子育ての息抜きとして一人で始めたECが、今や従業員22人を雇用する組織になった。奈良県大和高田市の実店舗は、広いキッズスペースも設け、地域の子育て支援スポットとしても親しまれている。
(金谷早紀子)
独学でEC開始
韓国子供服はSNSで長年人気コンテンツとなっており、インスタグラムでは「#韓国子供服」を付けた投稿が300万件を超える。そのため韓国子供服をECで販売する人が増えているが、欠品が多かったり、差別化が難しく、継続して運営できている店は限られる。
秋田さんは、16年にいち早くECを立ち上げた。自身の子供が生まれた際、可愛い服を着せたいと自分用に買い始めたのがきっかけだ。「当時は韓国子供服があまり出回っておらず、もっと知ってもらいたい」と、独学でECを始めた。
品揃えは、アースカラーのシンプルでナチュラルな子供服が中心で、主力サイズは80、90センチ。当初からインスタグラムでの発信に力を入れ、同時期にSNSで韓国子供服の人気が高まったこともあり、18年ごろから売り上げが伸び始めた。
実店舗で信頼広げる
韓国子供服のECが多数ある中で、信頼につながっているのが実店舗の存在だ。顧客から「商品を実際に見たい」という要望が高まったことから20年に出店した。
ユニークなのは広いキッズスペースも設ける工夫をしていることだ。「地元に雨の日でも子供が遊べる場所がなかった」という思いから、スペースいっぱいに大きなアスレチック遊具を設けて無料で開放している。子供を遊ばせている間に、落ち着いて買い物できると好評だ。店舗スタッフには地元のママを複数採用している。
24年5月には、大阪・岸和田市に開業した複合施設「ワタワン」に2号店も出店した。
インスタグラムのフォロワー数は9万5000と高い支持がある。売り上げの構成比はECと実店舗で5対1で、ECの客単価は4000円。
強化しているのは、オリジナル商品だ。性別が異なる〝きょうだい〟でもお揃いが楽しめるユニセックスのデイリーウェアが中心で、売り上げの2割弱を占める。今後もアイテム数を増やし、ブランドとしての認知を広げていきたい考えだ。