【軌跡】《7日間納期で攻める新生ビッグヴィジョン㊥》安売り体質からの脱却に成功

2023/07/03 12:30 更新有料会員限定


屋号の文字がカタカナだったかつてのビッグヴィジョンの店舗

 服地卸の吉村が11年にオーダースーツ専門店のビッグヴィジョンとグループの生産会社、オリジナルテクノロジー他3社を買収し、新生ビッグヴィジョンがスタートした。当時、売り上げ規模の7倍以上の大型買収に踏み切った吉村にとって、今後を左右する大きな勝負をかけることになった。

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高付加価値型へ

 ただし、買収が東日本大震災直後だったため、自粛ムードが強く、消費マインドは冷え切っていた。最悪のタイミングからのスタートとなった。その頃のビッグヴィジョンは、オーダースーツの同業他社と同様に低価格路線で、不振に陥っていた。社内ではグループの工場をより多く稼働させるため、数量を多く売る販売員が高く評価されていた。そのため、店頭では6万円のオーダースーツ1着を販売するよりも、2万円を3着販売することが優先された。その結果、小売店頭では価格訴求でセールを乱発することになり、縫製工場の工賃は低いまま上がらないという負のスパイラルから抜け出せなくなっていた。

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