文化ファッション大学院大学とヴェスト 織りネームを使った新しいファッションの可能性を追求

2023/07/07 06:28 更新


 文化ファッション大学院大学(BFGU)は服飾副資材のヴェスト(東京)と連携し、織りネームを使った新しいファッションの可能性を追求している。ファッションデザインコース2年次の授業の一環で、14年から開始した。織りネームを使った独創的なデザインを院生から募り、ヴェストが技術力を駆使して一からオリジナルの織りネームを作って具現化。修了作品ショーなどで発表して好評で、従来にない表現を生み出し、年々進化する取り組みとして注目されている。

 同社は修了作品の制作に協力する形で、10年前から同校と取り組んでいる。院生に「織りネームの固定概念にとらわれず、独自のアイデアをデザインとして表現してもらい、新たなファッション価値を一緒に創造する目的」で実施。「一から物作りする面白さを知ってもらい、織りネームの用途や表現力の広さ、国内工場の技術力の高さを訴求することも狙い」だ。

 これまでの取り組みでは、テープとして使ったり、模様のように服全体にあしらう人が多いほか、短冊状にしてフリルのように装飾する例、縦につないでリボン状にしたりフリンジ状にして使うこともあった。幅の広いテープをのれんのように並べて面を作り、イラストを大きくプリントしてテキスタイルとして使った作品もあり、「考えもしなかった斬新なアイデアに触れ、形にしていく過程に携われ、社内の創作意欲も向上する」と同社。

テープ状にしてつなぎ、テキスタイルのように使った作品も
テキスタイルのように使った作品のアップ

 BFGUは毎年5月上旬、同コースの2年生向けに、ヴェストの役員や社員を招いて特別講義を実施。院生は服などのブランドにとっての織りネームやタグの重要性と役割、製造工程について知識を修得。サンプルや先輩の作品を見て、同社によるデザインの公募について説明を受け、各自の構想に入る。

5月にファッションデザインコース2年生にヴェストが特別講義を実施

 修了制作で同社との取り組みを希望する院生は、各自のコンセプトに基づき、自由に発想した織りネームやタグのデザイン画と、織りネームを使った作品のスタイル画を提出。独自性、デザインの手法としての新しさなどを基準に3~5人が選ばれ、5月下旬から制作を開始する。

 選抜された院生が同社を訪れ、工場などの生産担当者5人と行う打ち合わせが重要。「院生が表現したいことを100%引き出し、デザイン画をグラフィックとして成り立たせるために、糸の振り方や織り方、厚み、風合いなど細かく話し合う。こんなことをやってみたらと提案し、ビジネスではできないことを作品で具現化できるため、製作側にとっても院生との取り組みは刺激的」とヴェストの担当者。

 打ち合わせから約3カ月後に各院生の織りネームが納品され、院生たちは織りネームを使った各自の修了作品の制作に取りかかる。翌年1月の修了作品のショーや展示で、学内外に広く発表する。今年度の連携も進行中で、今後も両者で新たなファッションの可能性を追求していく考えだ。

BFGUの修了作品の制作にヴェストが協力し、従来にない表現を生み出してきた


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