2月5~8日に24~25年秋冬ベルリン・ファッションウィークが開かれた。ショーやグループエキシビション、ポップアップ、関連イベントなど多数の催しが行われた。
(ライター・宮沢香奈)
夏と冬の年2回開催されているファッションウィークだが、有数のコンセプトショップのバイヤーは1週前のコペンハーゲン・ファッションウィークには参加するがベルリンでは見かけない。03年より開催されてきた老舗トレードショー「プレミアム」が24年秋冬の開催休止を発表するなど注目度の低さが露呈した。
しかし、ファッションウィークを運営する「ファッション・カウンシル・ジャーマニー」の会長で元『ヴォーグ・ジャーマニー』編集長クリスティアーネ・アルプが「才能ある若きデザイナーのための舞台」と評するように他都市とは異なる独自のファッションカルチャーを確立させているのも事実だ。
ロシアによるウクライナ侵攻以降、いくつかのブランドが発表の場をベルリンに移していることもそのひとつだ。3回目のコレクションとなる「ボブコヴァ」は「収穫の秋」をテーマに、ウクライナ人建築家が手掛けたグラフィカルなオリジナルプリントや豊富なギャザーとシルクの光沢と流れるような動きが美しいドレスなどを発表した。
ベルリンカルチャーをそのまま表現したような「ナミリア」は文化施設クルトゥルフォーラムを会場に立ち見スペースも埋まるほどのゲストと熱気に包まれたショーを披露した。「Pfoten weg!」をテーマに、ビッグショルダーと袖丈を強調したデザインやオリジナルカムフラージュのミリタリードレスなどが登場。クイアモデルが登場する度に大歓声が上がり、セックス・ポジティブ、人種差別へのアンチテーゼ、政治的主張などファッションを超えたアイデンティティーを全面に出したコレクションを発表した。