旭化成、用途開拓や危険予知に生成AIを活用 熟練社員のノウハウを継承

2024/12/10 06:25 更新


 旭化成は新規用途開拓や製造現場の危険予知活動に、生成AI(人工知能)の活用を開始した。専任組織と各現場とが連携し、用途開拓の時間短縮や、経験の浅い社員のリスク予知などに役立てる。

 23年5月からグループ全体での生成AI活用の方針を決め、効率化に役立ててきた。従業員向けデジタル教育「旭化成DXオープンバッジ」に生成AIコースを開設し、マイクロソフト「コピロット」など既存サービスを活用。書類作成や社内資料検索などに活用し、月2157時間短縮できた事例があった。

 組織利用では、23年12月から社内のシステム開発者向けに生成AIモデル利用基盤を公開し、各組織のデジタルプロ人材が業務に合わせた生成AIを社内で構築・管理・運営できる。技術的難易度が高いテーマについては、専任組織の生成AI・言語解析ユニットやスマートファクトリー推進センターが支援し、システム開発など行っている。

 具体的には、新規用途探索での活用が進む。専門人材と各事業領域が連携、AIが用途を自動抽出し、その中から特に有望な用途候補を生成AIが抽出するシステムを開発した。これにより、膨大な文献データから6000以上の用途候補を考案したほか、候補選別にかかる時間を40%に短縮できた例もあった。材料化学や医療分野での活用を進め、協業先の選定に活用することも視野に入れる。

 製造現場では、熟練社員の高齢化や退職で危険予知活動のノウハウ継承が課題となっている。これに対して、過去事例のデータを読み込んだ生成AIを活用し、経験の浅い従業員でもリスクや対応策を洗い出し、安全性や効率性を高めると同時に技術伝承も加速できた。

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