旭化成せんいはこのほど、インドでのキュプラ「ベンベルグ」販売40年を記念した式典をグジャラート州スーラット近郊で開いた。高梨利雄社長ら同社幹部が出席し、機屋など取引先70社130人を招待し、さらなる事業拡大の方向を共有した。
ベンベルグのインド向けビジネスは、セルロース繊維の輸入が解禁された76年にスタートした。現地の景気悪化で低迷した時期もあったが、00年以降の経済成長で大きく拡大し、ベンベルグ長繊維販売の3分の1の量を占める最重要マーケットとなっている。
14年に延岡工場で20年ぶりに実施した設備増強も、細物中心にインド向けのフォローを狙った。原料のコットンリンターも約3分の1をインドで調達しており、売り、買いにわたってインドとの取り組みは強固だ。
糸売りでは、シルクが根強い民族衣装分野を中心に、合繊では出せないシルクに近い質感や、染色性、肌触りの良さなどが支持され、女性用のサリー、デュパタ、パンジャブスーツといったアイテムに採用される。最近では、洋装風のクルティが登場するなど着用シーンが広がっていることも伸びの要因になっている。
販売開始当初は10社程度だった販売先の機屋も、現在では70社に拡大。織り工程だけでなく、一部染色工程にも技術指導するなど、営業、技術、マーケティングが一体になって同国でのプロモーションを強化している。
民族衣装のファッションショーへの協賛、雑誌広告などのほか、地元の服飾系国立大学で講座を持つなど認知向上に力を入れる。このほど開いた式典では、取引先の機屋ら関係者を招待し、1泊2日でインド流でもてなした。
安定市場の隣国パキスタンと合わせ、インド、パキスタン向けを今後も強化し、85年を経過したベンベルグ事業の100年達成を目指し、インドでの発展を確認した。