《異業種ECに学ぶ》「青山フラワーマーケット公式通販」 配送に知恵と工夫

2020/09/21 06:28 更新


【ネットコミュニケーション】《異業種ECに学ぶ》「青山フラワーマーケット公式通販」 配送に知恵と工夫 花を好きになってもらうために

 パーク・コーポレーションが運営する「青山フラワーマーケット公式通販」はフラワーギフトや花束、花のケア用品などを販売するECサイトだ。06年7月に全国に展開する店舗の一つという位置付けで開設した。

 ギフト需要での利用が多く、実店舗の青山フラワーマーケットよりも単価の高いものが売れやすい傾向にある。花業界は母の日が売り上げの多くを占めるが、同サイトはより顕著で今年は売り上げの25%以上を占めているという。そのほか、誕生日プレゼントが25%、お供え用の花が10%、自宅用では6%ほど。

 コロナ禍の真っただ中だった5~6月は、結婚式やパーティー、入学式など多くのイベント需要がなくなったものの、ギフトや自宅用などの需要が高まり、ECサイトとしては4倍以上の伸びがあった。

 花を扱うサイトとしての特徴は、「鮮度のいいまま配送するための工夫」だ。実店舗とは別にEC専用の拠点を設け、その場所で花を仕入れ、花束やフラワーギフトを作成している。また、サイトに掲載する写真と実物が違った印象を持たれないようにECの拠点で撮影をしている。ほかにも、ECサイトの店長自身が、オンラインショップオリジナルの配送箱の商品開発に携わるなど、現場や客の意見を反映したこだわりの箱を使用している。花は生鮮食品のようなもので、とても繊細。蒸れにくく、花傷が発生しづらいつくりになっているという。こうした商品作製から配送までの工夫とスタッフへの教育に力を入れている。

サイトトップの画像

 ギフト需要が強いことから、当然ながら注文客と配送先の住所が違うことが多い。そこで、「いかに青山フラワーマーケットのことを知ってもらうか」という点も重視しており、ブランドの世界を伝えるリーフレットを付けている。毎月のおすすめの花の紹介だけでなく、飾り方の紹介や毎日のケア方法の紹介などを掲載し、少しでも花を好きになってもらうための工夫もしている。最近では、産地直送の花を配送するサービスも始め、より生産者や産地にフォーカスした取り組みも強化していく。

 一方で、ギフト需要の多さは「いいところでもあり、課題」と同社。1人当たりの年間平均利用回数も1.45回ほどにとどまっており、基本的にギフトのための1回きりの利用というケースが多い。実店舗の店頭でアンケート調査した結果では、ECサイトを知っていると答えた客は15%ほどだったという。

 今後は、店舗とECサイトの連携を、できる限り強化していくことも検討し、同時にメルマガの強化やLINEを活用したコミュニケーションサービスも計画するなど、より花を好きになってもらうための施策に力を入れる。

≪データ≫

06年7月に開設。会員数は店舗の会員も含めて20万人以上で、メルマガの登録者数は6万人。利用客の男女比は女性8、男性2。メインは40代で45~49歳の女性がコア客層。平均客単価は7300円。400前後の商品が揃う。実店舗は日本に111店、海外はパリとロンドンに1店舗ずつ出店している。

(繊研新聞本紙20年8月26日付)


この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事