業績伸ばすイオンマレーシア GMS改革進め立地拡大

2017/11/21 04:28 更新


 イオンマレーシアは、出店立地、事業領域を広げるとともに、GMS(総合小売業)の改革を進めて業績を伸ばしている。84年に進出、すでに現地に定着した企業として、広がる中間層のニーズを捉えようとしている。

(田村光龍)

 イオンマレーシアは、クアラルンプール市で最大のSC、ミッドバレーメガモールに核店舗として入るイオンミッドバレー店を改装、顧客対応を強めたGMS改革を進めた。〝ハラル〟を明確にしてイスラムの消費者が安心して買える店として定評がある食品売り場でデリカコーナーを拡大、素材ではなくすぐ食べられるものへのニーズが高まる状況に対応する。

差別化へオリジナルを充実する(イオンミッドバレー店で)

 ファッション関連では、インショップ形式の多かったアパレルで、イオンマレーシアのPB「スカーレット」のほか、「トップバリュコレクション」を強化している。シューズではジーフットから「グリーンボックス」の商品供給を受けることを含め、オリジナルを充実している。ほかにはない1650平方メートルに及ぶベビー・キッズの集積も武器にしている。

 経済成長に伴い中間層が増えるマレーシアだが、首都のクアラルンプールはすでに競合が激しい。市内では現在、メガモールの規模1位を脅かす増床計画が進むなど引き続き商業開発が見込まれることから、「オリジナルなどによる差別化は欠かせない」(小寺博之取締役営業本部長)とみる。

 9月にオープンしたイオンモールバンダーダトーオンの核店舗ではインショップ形式のブランドにも理解を求め、単品を打ち出すファッションの売り場づくりを徹底した。商圏内に別なイオンがあるが、見せ方の違いが際立つことで使い分けされているという。

 同施設は、クアラルンプールの反対側、マレー半島東側のジョホール州に開設したもの。この地域ですでに6店目になっており、イオンマレーシアでは、クアラルンプールに次ぐエリアとしてドミナントの構築を進めている。16年に開店したイオンモールシャーアラムはクアラルンプールの郊外でイスラム系マレーシア人が多い地域に出た。新店はSC型が中心だが、飽和感のあるクアラルンプールの中国系狙いではなく、新たな中間層をターゲットに出店立地を広げている。

 さらにこの間、事業領域を広げるためにドラッグストア「イオンウェルネス」の出店を急いでいる。中間層の拡大に伴い高まるアンチエイジングや美白など健康と美容に対するニーズの取り込みを狙ったもので、13年にスタートした。220平方メートルの標準店と400平方メートルの大型店のフォーマットを用意しておりすでに50店を出店、イオングループ外が半数を占める。引き続き積極出店し、数年のうちに100店に増やす構えだ。

 同社は前期の売り上げが1350億円規模になっており、9月時点でSCタイプ27を含む大型店33店、食品スーパー3店とイオンウェルネスを運営する。新店とGMSの改革によって今上期も増収増益となっている。

急速に拡大する「イオンウェルネス」



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