セブン&アイ・ホールディングスは中間持ち株会社のヨーク・ホールディングスを設置、イトーヨーカ堂などは子会社から持ち分法適用の関連会社に移行する準備に入った。セブン&アイHDは25年5月の株主総会でセブン‐イレブンコーポレーションに社名変更する予定で、「コンビニエンスストアにフォーカスすることを明確にする」(井阪隆一社長)。
4月に表明していたプランを具体化した形だが、これまで業績を押し上げてきた日米のコンビニ事業の立て直しが求められ、カナダのコンビニ企業からの買収の提案も続いている中で進めることになった。
コンビニとGMS(総合小売業)は「成長のストーリーが違う」としたもので、資本関係は残して食品の商品開発での連携は続けるというが、セブン&アイHDは祖業のヨーカ堂を分けてグローバルなコンビニの企業としての成長を追求する。今回はSST(スーパーストア)事業と専門店などのその他の事業が対象となったが、金融関連事業についても「最適な資本関係のあり方を探る」ことにしている。ヨーカ堂などのヨークHDは自律的な財務規律のもとで成長し、株式公開を目指すという。
ヨーカ堂はこの間、抜本的改革を進めてきた。そして25年度で33店の閉鎖や人員削減、自主アパレルからの撤退などを完了する。今回決めた特別損失458億円を積み上げたネットスーパー事業からの撤退もあり、シェルガーデンと合わせた首都圏SST事業で指標としてきたEBITDA(金利・償却・税引き前利益)550億円以上の達成が見込めると強調されている。実現すれば基盤は固まったというわけだが、持ち分法適用会社への移行は25年度中の予定で、セブン&アイHDは今と同じ立ち位置からそれを見るわけではなく、持ち分法適用会社の移行に向けて戦略的パートナーを招くことにしている。
ヨークHDは首都圏SST事業だけでなく食品スーパーのヨークベニマルやロフト、赤ちゃん本舗、SC運営のセブン&アイ・クリエイトリンクなどを傘下に持つ。「SST事業に関連性が高いところを集めた」とし、合計のEBITDAは25年度で1000億円が見込めるという。戦略的パートナーは創業家を含めた「数社のコンソーシアムで支援してもらうこともある」が、そこで自律的成長戦略を描き、実行できるかが問われることになりそうだ。