【トップインタビュー】東レインターナショナル 三木 憲一郎社長

2018/10/30 06:00 更新


 今年6月、東レ取締役繊維事業本部副本部長兼テキスタイル事業部門長から、グループ売上高8000億円規模の商事会社東レインターナショナル(TI)社長に就任した。「過去の延長線上では難しい。スピード感を持って変化に対応することが必要だ」と社長就任来、精力的に客先や事業拠点を回り、事業拡大に取り組む。

素材の力という強みを活かす

―メーカーから商事会社のトップに就いた。

 東レ本体で感じていたこととTIで見聞きすることは違いますね。商社は特に変化への対応が必要だと感じています。世の中の変化、海外顧客の動向、生産場や競合他社などの動きを敏感に捉えて、顧客に独自のソリューションを提供しなければ生き残れません。そして、国内だけでなく、世界へ目を向けないとビジネスは拡大できません。

 グローバルなサプライチェーンの中で、東レグループはどういう規模の商売を狙うのがベターか、ベストなのかを常に考えなければならない。

その上で勝つためにはどうすべきかの明確な戦略をもっと強く意識していかなければなりません。

―その際のTIの強みは。

 繊維事業で言えば商品コンセプトとして素材の力、生地の特徴が出せることです。縫製だけでは結局価格勝負になってしまう。その点、TIにはグローバルに広がる東レグループのテキスタイル生産基盤があります。幸い、私自身の前職が東レのテキスタイル事業部門長でしたので、商品戦略では東レとの連携を今まで以上に強め、TIが東レグループの企業である強みをもっと事業運営に生かしたいと思います。

 また、TIアパレル部門の人材教育と育成、東レ繊維事業本部との交流促進、情報の共有化などにも力を入れていくことで、東レグループトータルとしての実力を上げていく必要があります。東レでの物つくりとTIの出口戦略のいずれもが大切です。東レは糸、わた、テキスタイルから縫製品までの一貫供給体制が強みですが、TIも同様です。アパレル部門、テキスタイル貿易部、ファイバー部の強みに磨きをかけ、TIとしての存在感を高めていくということです。

東レインターナショナルは2016年の創立30周年を機に、長期経営ビジョンとして掲げる"SUPPLY CHAIN INNOVATOR"のロゴマークを制定。このロゴマークは、シンプルでありながらも、企業の意志・理念を内外に明確に「意思表示する」デザインとし、革新性、グローバル感、繋がり等のメッセージを伝え、力強く未来へ向けて成長していく姿を表現している。


パシフィックとのシナジーに大きな期待

―ニット製造大手のパシフィック・テキスタイル・ホールディングスに東レが資本参加した。

 パシフィックについてはTI日本はあたり前ですが、TIAM(アメリカ)、TIEU(欧州)とともに事業連携を進めていきます。今まで東レが自社グループに持っていなかった短繊維ニットで大規模な供給拠点ができたと捉え、パシフィックを自社工場のように活用していくことでシナジーを高めたい。これまではニットで大きなオーダーを獲得できても供給できるスペースがなかったわけですが、パシフィックが加わったことは東レグループにとって大きな力となります。

 同時にパシフィックの定番ニット生地に東レの差別化原糸を使うことで一格上の素材を作り、提案できるというシナジーも生まれます。TIはグループ海外商事会社を使ってパシフィックの生地を拡販する出口戦略でシナジーを発揮することも考えるとその可能性に非常に大きな期待があります。

 これまでTIが海外で進めてきたテキスタイルのコンバーティングビジネスも実を結び始めており、テキスタイルの開発、供給力は製品ビジネスを進める上でも大きな強みとなります。

最新のストレッチ素材と特殊な縫製技術により生まれた新感覚快適ウェア「スリーディーエフエックスプラス」。軽量かつ優れた保温性とストレッチ性が特徴。アウトドア・スポーツウェアをはじめタウンユースの新感覚ウェアなど、あらゆるアクティビティに対応できるよう設計されている。


―縫製OEM(相手先ブランドによる生産)事業の現状は。

 金額ベースでは中国とベトナム合わせて縫製OEM事業の80%強ほどを占めています。今後はベトナムが増えるでしょうし、インドネシアやバングラデシュも広がる可能性があります。エチオピアでの縫製もスタートしましたが、まだ課題はあります。地道に力をつけなければならないと考えています。縫製拠点の中心はまだまだASEANですが、その他地域での取り組みをどうしていくのか新たな絵を描くタイミングにきています。

 東レ本社をはじめ、TIグループ海外拠点との情報交換や情報共有の横連携をさらに強め、東レグループの営業の先兵として、グループのさらなる成長に貢献していきたいと考えています。

東レインターナショナルが製造・販売している衣料品は、そのほとんどが海外で縫製。当初は中国での縫製が主であったが、近年ではベトナム、バングラデシュなど南アジアの比率が増えている。

profile
三木 憲一郎(みき・けんいちろう)氏
82年 東レに入社
05年 東麗中国投資有限公司兼東麗合成繊維南通有限公司董事
07年 短繊維事業部長
12年 長繊維事業部長
13年 産業資材・衣料素材事業部門長
16年 テキスタイル事業部門長
18年6月 東レインターナショナル社長

東京本社 〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3丁目1番1号 日本橋TIビル

大阪本社 〒530-8222 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番3号 中之島三井ビルディング 21-22F

http://www.toray-intl.co.jp 

(繊研新聞本紙10月26日付)


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