【対談】ハッピー橋本英夫代表取締役×繊研新聞社藤浦編集局長

2018/07/17 05:30 更新




 デジタル化の進行、人口減が加速する成熟した日本社会で従来型のファッションビジネスは見直しを迫られている。とくにアッパーミドル層を対象としたアパレルメーカーなどは規模の拡大ではなく、文化的価値=個人の嗜好性を大切にしたパーソナルな服作りが求められる。そうした時代を見据え、単なるクリーニングを超えたケアメンテサービスによる新たな付加価値を提供するハッピーの橋本社長にファッションビジネスの未来について語ってもらった。

株式会社ハッピー  代表取締役 橋本英夫氏 ×【聞き手】繊研新聞社取締役編集局長 藤浦修一

人口減を前提とした改革を

藤浦 IoT(モノのインターネット化)やAI(人工知能)などデジタル技術の進化はファッションビジネスにとっても激変をもたらす産業革命という認識です。これから物作りから流通、消費行動まで各段階でどう立ち向かい、乗り越えていけるかが問われています。

橋本 これからのファッションビジネスを考える際、大前提となるのは人口減少問題でしょう。少子高齢化に拍車がかかる中、誰に服を売るのか。現実を直視すべきです。アパレルメーカーなど業界全体はEC強化に生き残りをかけていますが、巨大なグローバルIT企業に勝てるはずもありません。従来型の大量生産・大量消費型のマーケティング手法では本当の解決策までたどり着かないと思います。

橋本英夫代表取締役

 個人の嗜好性から付加価値創造

藤浦 日本のファッション産業は戦後から高度成長期までは大量生産・大量消費型で成長してきましたが、90年代のバブル崩壊後、既存の小売業は縮小の一途です。消費者に新たな価値を提供するためにも根本的な革新が欠かせません。

橋本 日本は欧州と同様の成熟社会となり、市場の二極化も加速しています。そうした中でアッパーミドル層を狙うアパレルメーカーは規模の拡大よりも文化的価値の追求を重視すべきでしょう。文化的価値とは個人の嗜好性に寄り添い、付加価値を創造することです。当社の本業のケアメンテサービスに関連付けると、欧州に比べ日本は染色堅牢度など物性に固執するあまり、豊かな色彩やデザイン性など感性面を疎かにし過ぎてきました。物性面を気にするあまり、新たな価値を生み出すような挑戦を避け、結果的に売れない商品を作り続けることになっています。感性面に磨きをかけ、もっと服としてのデザインや色彩、異素材との絶妙な組み合わせによる嗜好性の「美」を創造すべきでしょう。それが、高付加価値になるはずです。

繊研新聞社 藤浦修一取締役編集局長 

愛着のある服を長く大切に

藤浦 一般的なクリーニング業界とハッピーのケアメンテサービスの違いはどこになりますか。これからのファッションビジネスにとっても販売して終わりではなく、アフターメンテナンスを通じた顧客との信頼関係の構築はますます重要になりそうですね。

橋本 洋服が売れなくなった一因はクリーニング業界にも、その原因があると言えます。トラブルを回避したいため、デザイン性の高いデリケートな服や難易度の高い汚れなどは初めから受け付けない傾向にあり、顧客の悩みを解決できない状況です。その結果、消費者は「たんすの肥やし」になる服が増え、新たに購入しなくなるという悪循環に陥っています。さらに「安い・早い」という利便性に明け暮れ、信用を失いました。

 クリーニングの市場規模は1992年で約8200億円あったものが、2017年には約3400億円まで減少してしまいました。ハッピーとの違いは、水洗いをベースにした高い洗浄技術力とデジタル技術を活用した電子カルテによるきめ細かい顧客管理にあります。それは単価の差としても顕著に表れており、通常のクリーニングの客単価が900円のところが、ハッピーでは2万円台前半です。愛着のある服を新品のような状態で長く着続けることが可能になる証左と言えます。

 実は、ハッピーの衣服購買動機調査で明らかになっていますが、新品を長く着続けられることによって、上質な嗜好性に富んだ服を新たに購入していくという動機になっているのです。ファッションビジネスを支える縁の下の力持ちになりたいと考えています。


 「おもてなしIoT(※)」を目指す

藤浦 ファッションビジネスが再生するためにも今までの姿勢を改めなければなりません。未来のあるべき姿はどういったものになるでしょうか。

橋本 理想としては消費者個人の嗜好性に価値を見出し、完全受注生産によるオーダーメイドのようなパーソナルな服作りが求められると思います。そうすれば、無駄な在庫リスクも減り、地球環境にも優しく、サスティナブルなビジネスが可能になるでしょう。セレクトショップなど小売業の店頭スタッフにとってもアフターメンテナンスは接客サービスの大きな武器になるはずです。そのためにも、ファッション産業とともにケアメンテサービスによる「おもてなしIoT」を目指していきたいと思います。

(※)おもてなしIoT:ハッピー電子カルテによるビッグパーソナルディープデータを指す

無重力バランス洗浄装置(特許)
電子カルテの画面イメージ(特許)
電子カルテ作成の様子
リプロン®「黄ばみとり」 Before & After
シルエットプレス®


株式会社ハッピー

【京都 HEAD OFFICE】〒611-0041 京都府宇治市槙島町目川70番地の1

 【TEL】0120-88-6868   【FAX】0120-88-3937

【URL】www.kyoto-happy.co.jp

(繊研新聞本紙7月10日付け)



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