20~21年秋冬パリ・コレクション 艶やかな黒が軸

2020/02/27 06:29 更新


 【パリ=小笠原拓郎、青木規子】20~21年秋冬パリ・コレクションは、トレンドカラーに黒が浮上している。黒を軸にしたカラーパレットも充実しており、ブラック&ホワイトをはじめ、赤やパープル、ピンクを組み合わせたスタイルも多い。艶やかな女性らしさや強いエレガンスを表現するのに欠かせない要素になっている。

(写真=大原広和)

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 サンローランは美しい色のコントラストに、パテントの光沢を取り入れた。ほぼすべてのルックにパテントを使いシャープなラインを描く。タイトなレギンスとテーラードジャケットというのがアイコンとなるスタイル。テーラードジャケットはボルドーやパープル、フクシャピンク、ベージュのきれいな色。その色合わせの美しさはまさにかつてのイヴ・サンローランの描いたコレクションと重なって見える。

サンローラン

 パテントのレギンスの上にスカートのスタイルも、いつものようにガーリーなイメージではなく大人っぽく洗練されている。パテントのベアバックドレスやブラトップは、光沢のエッジーなイメージから大胆に素肌をのぞかせることで、はっと息をのむような艶やかさをアピールする。パテントと美しい色のコントラストは、エッジが立っていながら、洗練された雰囲気も同時に持っている。そのとがり方とエレガンスの共存は、かつてのイヴ・サンローランとも違うし、これまでのアンソニー・ヴァカレロのサンローランとも違う何かを感じさせる。

サンローラン
サンローラン

 アンリアレイジのインビテーションには白い紙のパーツが同封されている。ショー会場に入るとブロックが置かれている。そこで見せたのは、立方体のような膨らみの服。トレンチコートやブレザー、MA-1といったスタンダードアイテムがブロック状のフォルムで作られる。袖や身頃はスナップボタンで何段階も分解できて、違うアイテムのパーツを合体させることもできる。トレンチコートとブレザーとMA-1がパーツごとに合体して違う服になる。ラメツイードドレスとシャツドレスが解体され再構築される。

 ケーブルニットとダウンパーカも分解され、新たなアイテムに生まれ変わる。再構築されて新しいアイテムになるだけでなく、ブロックの足し算、引き算で着丈やレイヤードのバランスを変えることもできる。着る人によって自由にカスタマイズできるという発想は面白いが、こうしたパーツの合体や着せ替えはこれまでもあった。着せ替えの媒介にブロックを取り入れた点が新しいアイデア。問題はこのブロックのフォルムが新しいかどうかにある。

アンリアレイジ

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