【19春夏ロンドンコレ】新生バーバリー、ベールを脱ぐ

2018/09/19 06:30 更新


 【ロンドン=小笠原拓郎】19年春夏コレクションのトピックスの一つ、リカルド・ティッシによる「バーバリー」がベールを脱いだ。メンズとレディスを合わせて132ルックという膨大なコレクション。そこには、ティッシの美学とカットが貫かれている。

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 真っ黒なショー会場の天井の布が外されると、夕暮れの柔らかな光が会場に差し込む。ウッドのついたてが静かに動いて広い空間を遮ると、マッシブアタックの曲が流れ始める。新生バーバリーは、ティッシによる英国の多面性とスピリットへの礼賛を込めたコレクション。

 バーバリーのコートに見られるベージュが多く、コートだけでなくスカートやパンツ、ブラウスなどたくさんのアイテムにベージュをのせていく。ステンカラーコートやトレンチコートはオーバーベルトのディテールでシェイプを変え、スカートやパンツはフロントがウエストから垂れ下がりレイヤードしているように見える。シンプルなカットだが、スカーフのディテールやリング刺繍、チェーン刺繍で、コートやスカートに動きを作っていく。


 伝統を背景にした遊びでも、ティッシのアイデアがさえている。ブランドロゴにも使われている乗馬の騎士は可愛いイラストとなってシャツにプリントされ、バーバリーチェック柄はテープ状に編み込んだ生地でコートに仕立てられる。

 ショー後半のカジュアルピースでは、アニマル柄のプリントアイテムがいっぱい。ブルゾンには「WHY DID THEY KILL BAMBI」の文字。先日のファーフリー宣言のキャッチーな話題と重なりながらも、笑いに変えるしなやかさを感じる。

 クリストファー・ベイリーとの違いでいえば、なんといってもカットだろう。ベイリーがバーバリーのアーカイブを背景にしながら、過去のアイテムをもとに今の時代にフィットさせていったのに対し、ティッシはアーカイブを参考にしていてもティッシのカットだ。だからレディスはスリムで、メンズはマスキュリンなマッチョさがベース。そこにフェティッシュなムードや拘束のモチーフ、レイヤーリングといったテクニックが織り交ぜられる。

 今までのバーバリーのイメージといえば、どこか〝優等生〟のようなものがあった。クリエイティブだが伝統に根ざし、そつがないといったところだろう。しかし、ティッシのコレクションは英国を背景にしながら、ストリートの匂いやテーラーリングなどの様々な要素を取り入れて、もっとエッジが立っている。その鋭いエッジにこれまでの顧客がついていけるのか。ブランディングも含め、今後のビジネスの展開も大きく変わっていきそうだ。


(写真=catwalking.com)

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