【ロンドン=小笠原拓郎、若月美奈通信員】18~19年秋冬ロンドン・コレクションは前シーズンのトレンドとなったラスティックなムードが減って、クリーンなラインへと回帰している。クラシックを背景にした新しいレディーライクやモダンへの志向が気にかかる。一方で前シーズンのコレクションから発展させたデザインを見せるブランドも多い。ラスティックは減りつつも前回と大きく変化しないコレクションというのが大きな流れと言えそうだ。
(写真=catwalking.com)
クリストファー・ケインは、家事を背景に主婦のセクシュアリティーを描いた前シーズンの延長線上にあるコレクションを見せた。その出発点は、クリス・フォスとチャールズ・レイモンドによるセックスに関するイラストレーションだという。ベージュと黒、レースとレザーの組み合わせからショーは始まり、レースを重ねたランジェリードレスへと進む。
レースの透明感を切り替えて作るドレスは部分的に透け感を変え、ファーストラップのドレスの胸元にはセックス描写のイラストが描かれる。ビジュー刺繍でコントラストをつけたニットドレス、ファスナー開閉でスリットを調節するドレスなど透け感とともにメタリックな光沢もポイントとなる。ビジューパーツと生地をつないだドレスは大胆に素肌を見せる。布のテクニックやビジュー装飾を際立たせたシンプルドレスはいかにもケインらしい。しかし、前シーズンから続くスタイルに新鮮味は感じにくい。
確かに、今シーズンのロンドン・コレクションは前回からの延長線上のテーマやスタイルの発展が多い。それは、今がそういう時代だからという説明もできるのだが、それに納得できないからこそ、それほど感動も得られない。果たして、このセクシュアリティーを背景にしたドレススタイルは、トレンドをけん引することになるのか。ミラノ、パリとコレクションが進むにつれ、ケインのクリエイションの意味も明らかになるかもしれないが、今のところ、その変化しなかった意味を探りあぐねている。