18~19年秋冬ロンドンコレクション バーバリー

2018/02/19 16:45 更新


 【ロンドン=小笠原拓郎、若月美奈通信員】クリストファー・ベイリーによる最後のコレクションとなった「バーバリー」が、クリエイションとビジネスの両面で新しい試みに挑んだ。

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 一つはレインボーチェック。ベイリーは「私の最後のコレクションを世界中のLGBTQ+(性的マイノリティー)の若者を支援する素晴らしい団体に捧げる」と語り、象徴としてバーバリーチェックに虹色のラインを差し込んだレインボーチェックを出した。遠目にはわからないほどさりげないラインだが、シャツやキャップ、マフラーなどに多用され、しっかりと存在をアピールしている。コレクション全体を通しても、虹色切り替えのパッデッドジャケットやフロアレングスのフェイクファーコートなど、ダイナミックなレインボーアイテムが目を引き、フィナーレには会場全体が虹色の光線で覆われた。三つのLGBTQ+関連のチャリティー団体への寄付も行った。

バーバリー

 二つ目は大手ECサイトのファーフェッチとの提携だ。同サイトを通じて消費者が世界中のバーバリーの商品在庫を確認・購入できるプラットフォームを構築した。それにより販路は150カ国に広がった。もっとも、鳴り物入りで始めたシーナウ・バイナウ形式のショーは、ぐっと後退した格好。全商品が即発売された前回までとは違い、すぐに店頭に並ぶのは20~30%だけ。それ以外は7月以降に販売する秋冬物となっている。

 コレクションは「タイム」をテーマに過去、現在、未来を見つめるデザインが揃った。昔のロゴを随所にのせたり、80年代のシルクスカーフやチェック柄の復刻といったブランドの過去、そしてベイリー自身が以前にデザインしたアビエータージャケットやドット、ハートのモチーフを現在のストリート感覚のスタイルに落とし込む。そこに多様で自由な未来を象徴するレインボーが重なる。レインボーが強調されぎみではあるが、そのボリューム感やレイヤードには今のムードがきっちりと取り込まれている。思えば、ベイリーはバーバリーの伝統やアイコンを背景にしながら常に時代とのバランスを探ってきた。

 ショーでは、春夏物と来秋冬物が自在に組み合わされ、男性モデルのスカート姿もあった。性、シーズン、時代をシャッフルし、自由を謳歌(おうか)するコレクションでベイリーによる17年の歴史を締めくくった。

(写真=catwalking.com)

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