《連載 次代への襷》⑩  タッカ(本紙1月31日付け)

2013/06/23 21:13 更新


 ブラウンの壁、オレンジの椅子が置かれた部屋にはブルー、イエロー、グリーンといったカラフルなテキスタイルが所狭しと並べられている。寒々しい機屋のイメージとは180度異なる本社の商談室。「機屋といえば暗い工場というイメージが強く、若者には敬遠されてきた」と棚橋英樹タッカ副社長。そのイメージを払拭(ふっしょく)し、若い人材を採用・育成して、技術継承をすること。それが「日本の繊維産業が直面している重い課題だ」と強い口調で訴える。  テキスタイル生産には大きく分けて2人のデザイナーが必要となる。1人は「こういった生地を作れば面白い」と発想力を生かしてデザインする人。もう1人はその発想を具現化するために生地の設計をする人。技術継承が進んでいないのは圧倒的に後者だ。「日本にはテキスタイルを専門的に勉強できる学校がないのが原因の一つ」と棚橋副社長。生地のデザインが良くても、設計ができなければ、見本すら作ることができない。  同社で生地の設計をしているのは45歳、58歳、そして棚橋副社長の父で70歳になる棚橋正亘顧問の3人。20、30代はいない。「50年間生地の設計に携わっている私でさえ、いまだに発見することは多い。繊維は奥深い」と棚橋顧問は話す。  将来を見据え、生地のデザイン担当の若手社員に紡績、織り方、染色など設計のイロハを引き継いでいる。糸の打ち込み、生地の縮小率などあらゆることを勘案して一人前の生地を作れるまでに掛かる時間は約15年。「学ぶ場がないなら、自分たちで伝承していくしかない」との思いでいる。指導を受けている若手社員も「設計できると、より奥行きがあるデザインができる。魅力的なテキスタイルを作るには設計を学んだほうが絶対良い」と意欲的だ。  「私もいずれ年を取り、一線を退く時がくる。その時までに全国から積極的に夢を共有できる若い人材を採用していきたい」。棚橋副社長は力を込める。   【企業メモ】創業=2005年▽所在地=愛知県一宮市▽業種=テキスタイルの企画、生産


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