「ユウショウコバヤシ」(小林裕翔)は3月30日、都内で23年秋冬のショーを単独で行った。
会場には、細長い木材を並べたり、じゅうたんをカットしたりして、壁と床に同様のモチーフをずらして装飾した。テーマは「シャドウ」。モノトーンを軸に、グレイッシュなパステルトーンやアクセサリーを差し込み、影のようなコントラストのあるコレクションを見せた。
グラフィカルな花柄が、水面に映るような柄に切り替わるニットドレス。黒の靴下をカットアウトし、カラーストーンを添えた手編みの装飾を施す。カットジャカードの花柄がぼんやりと浮かぶギンガムチェックのベストは、後ろ身頃の生地を表にして鮮明なジャカードの花柄を出す。小林らしいクラフトタッチの緩やかなシルエットに、ぼんやりした柄と存在感のあるテクスチャーを交えて、立体感のあるバランスに仕上げていく。
「ロンドンに滞在していた記憶の景色から様々な人のスタイルを反映し、小説のように日常のリアリティーを表現した」と小林。いつもより品の良さを感じさせるのは、英国風のクラシックスタイル。千鳥格子のツイードのコートは、前身頃の片方を無地のツイードにしてチェック柄のハンドステッチを入れる。フォーマルな装いも、ゆるっとしたニュアンスに置き換え、身近さやあどけない表情を引き出した。
(須田渉美)