夢ややりがいを持ってファッション業界に入社してきた社員。新たな環境に慣れながら思いを貫くために業務に取り組んでいる。各社は入社からのスキルアッププランや希望職への転属制度なども充実してきている。4年目までの若手社員に話を聞いた。
やりがいとチャレンジ 思い出に残る一着を作る
ロペピクニック事業部のキッズデザイナーの荒川まやさん。20年4月に入社、デザイナー採用だが、1年目は店舗スタッフとして勤め、2年目に企画に移動した。初めは先輩社員のアシスタント的な業務を行い、22年3月からはキッズの企画を任される。通常は3年目からデザイナーとして独り立ちとなるため、「不安の方が大きかったが、新しいことに挑戦することが好き」で、前向きに捉えてチャレンジしている。
店頭は貴重な経験
新卒採用ではデザイナーなど技術系の募集は少ないが、「ほかの職種は考えなかった」。小学生の頃から絵を書くことが好きで、高校生からは服飾の学科で学び、デザイナーになることを決意。駄目だったときは「ほかの業種に就職し、絵を書くのは趣味として続ける」ほどこだわりは強かった。就活では「なりたい自分に向けて目的を持って行動した」と、多くの服を見て回ったり、学校の講師や身近な人に積極的に話を聞いた。
販売職期間は「直接、お客様の声が聞ける貴重な機会」と振り返る。今後の企画の参考になるように、体形の悩みや購買された商品の特徴などをメモに残した。素材や仕様、ボタンの種類も学べる場で、販売員をしながら情報収集や参考となる経験を積み、「店頭の経験は今に生きている」と、店頭は職種に限らず経験すべきと感じている。
認知度を上げたい
デザイナーとして任されたのがキッズ。関心はあったが、「私も周りにも子供を持つ人がいない」ため、子供の気持ちやニーズが分からなかったが、サイズ感など一から勉強し、子供服売り場を頻繁に視察。「ただ可愛いだけでは作れない」と企画に邁進(まいしん)。着用期間が短いケースも多く、「幼少期の写真やビデオを見て〝これよく着ていた〟」と思い出に残る一着になる商品作りを志している。
セレモニー用ではオンにもオフにも着こなせるように白襟が取り外せるワンピースを企画。好評で、定番としてリピート生産が決まった時は「うれしかった」。
ジュンの子供服は「ロペピクニック」だけで、実店舗では大型店が中心。そのため、「単に企画するのではなく、もっと認知度を上げたい」思いも強い。昨年11月からは、自ら出演するインスタライブ配信を行い、キッズのアンバサダー募集活動も始めている。EC担当のスタッフにも相談、協力してもらいながら積極的に行動。「チャレンジできる社風がある」と、やりがいを感じている。
■入社1年目は全員店舗スタッフに配属。総合職入社は1~2年ほど販売を経験し本社に移動。販売職は2年目から店舗スタッフを担当しながら店舗マネジメントやショッププレスラインなど希望業務を選択。また、公募制度として本社各事業部から欠員や増員のタイミングでも応募できる。3年目以降は自分の働き方やキャリアの考え方に応じて見直しが可能。
(繊研新聞本紙23年4月12日付)