産業の未来は人――十数年にわたって産地を回り続けてきた糸編代表の宮浦晋哉さんは言う。「産地には魅力があふれているが、やり方がうまくない。可能性があるのにもったいない」とのもどかしさを常に抱いてきた。この数年は、工場が積極的に世の中に発信し、産地イベントが各地で開かれ、転換期を迎えている。変化を乗り切り、成長していくための課題は「人と収益の向上」と言い切る。
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荒波の時代を生きる
「この十数年を振り返ると、希望を持って産地に就職した人はいっぱいいたが、90%は辞めている」と話す。全国の産地に足を運ぶ中、職場の人間関係や待遇面の悩みを聞いてきた。優秀な人材や「まだまだ(物作りを)やりたい」思いを胸に秘めた職人が繊維業から離れていった事例を見てきた。一方で繊維企業で生き生きと働く若手も見てきた。