デザイナーの山縣良和が手掛ける「リトゥンアフターワーズ」は22年12月、長崎県の五島列島北部の小値賀島と東京を結ぶプロジェクトを立ち上げた。1月下旬、2拠点で最新コレクション「リトゥンアフターワーズ12アイソレイテッド・メモリーズ」の展示・受注会を行う。クリエイションの発想源をリアルに感じてもらう体験型のプレゼンテーションを企画した。
長崎県島原市出身の山縣はこの数年、幼少期を過ごした長崎の歴史や文化に深く関心を持つようになった。自身のルーツに向き合った前回のコレクションは、長崎県の協力を得て、長崎県美術館で発表した。
その延長で、小値賀島と今は無人島となった野崎島へと考察の幅を広げ、群島の地から立ち上がる新たな人間像を思い描いた。昨年末には、写真家の田附勝、濱田祐史とともにルックの撮影も行った。
島での新作発表と受注会は1月20~22日に実施。小値賀島の歴史的建築、旧小西家住宅で展示会を開くとともに、小値賀島と野崎島の一部で移動型のインスタレーションを行う。事前に募集した同行希望者とともに回る予定だ。1月27~31日には都内で展示・受注会を行う。コレクションとともに田附と濱田の作品を披露し、島での展示を追体験できるような演出で見せる。
同時に、より多くの人がプロジェクトに参加できる「記憶の島Tシャツ」も企画した。昨年末、リトゥンアフターワーズの制作拠点の谷根千エリアで発表し、ECで予約販売したオリジナルのTシャツを小値賀島から発送する。今回の旅の記憶を映した写真や〝欠片(かけら)〟とともに包装して臨場感を伝える。