長期化するコロナ禍の先行きが見通せないなかで、ウェブ展示会への注目が高まっている。繊研新聞社がこのほど実施した「ファッションDXアンケート調査」(アパレルメーカーやファッション小売り90社が回答)では、ウェブ展示会システムを導入している企業は全体の3割にとどまったが、未導入企業の4割が「導入を検討している」ことがわかった。
アパレル商品の特性上、現物を確認してから仕入れをしたいというニーズは根強く、ウェブ展示会システムは普及の途上にある。しかし、「リアルの展示会にバイヤーが来場できない」「リアル展以外の仕入れ先の開拓が必須になった」と、主催者と来場者の双方で変化対応を迫られ、早い段階でシステムを導入して効果的に運用する企業もでてきている。
「導入しているサービス」の質問で最も多く挙がったのは、ターミナル(東京)が提供するファッション業界向けのマーケットプレイス「ターミナルオーダー」。同サービスは展示会のオンライン化を起点に、業務プロセスの最適化やデータ活用によるビジネス成長の支援まで、機能を随時拡張しているのが特徴だ。
システムが進化していることで、導入企業は「コロナ禍での一時利用」ではなく、オンラインで仕入れを完結できる仕組みを作ったその先に、商品画像を自社ECで利用したり、消費者やグローバルへの訴求などにも結び付けようとする動きも出ている。
今後も当面はリアル展とウェブ展示会が並行して開催されることが想定される。ウェブ展示会システムの導入を検討している企業は「その先に何を実現したいのか」という視点も求められそうだ。