レディスカジュアルのウェアーズ 在庫抑制し増益へ

2019/07/17 06:26 更新


 レディスカジュアルブランド「ダブルクローゼット」を運営するウェアーズ(東京、上杉典正社長)は、在庫量を抑制した効率的な店舗運営で収益性を高めている。19年7月期は、店舗数が純減2だが、売上高は前期比4%増の58億円、営業利益は大幅増を見込む。無駄な在庫を減らすことで店舗の現場スタッフの作業負担を改善する狙いもある。

 在庫量を絞り高回転の店作りに取り組む背景として、「小売業が売上高をKPI(重要業績評価指標)にすると商品を店舗に突っ込むことになり、売れ残れば商品の行き来に物流経費もかかる。店舗スタッフも入荷や返品作業に追われてしまうため、この負担を減らすことでVMDを考えるなど有意義な仕事に集中できるようにしたい。残業代削減にもなる」と上杉社長。かつては売上高の倍以上の在庫のときもあったが、最近は1.3倍を下回ったという。「物を作り過ぎないことがエコだと思う」とし、正月の福袋の量も減らした。

 19年春夏物では、羽織りとして使える麻のビッグシャツや、ウエストシャーリングや花柄のワンピースが売れた。企画と販売の責任者が頻繁に綿密な打ち合わせを行い、特に3月末の在庫は質の良い商品で構成できた。一方で5月末は金額はほぼ同じだが分厚い物や長袖の物が残っていたという課題もあり、引き続き企画精度向上に取り組む。

 原価率は上がっているがプロパー消化率が伸びたことで、粗利益率向上にもつながった。「無駄な物を作らなければ余計な値引きもない」。既存店売上高は前年同期比5~10%増で推移している。

 労働時間の効率化にも取り組んでいる。4月から販売スタッフの長時間のシフトを見直し、給料を変えずに年間の労働時間を大幅に削減できる計画だ。今のところ従来の人員で店を回せているという。キャリアを重ねて重要な戦力として成長したスタッフが、今後も働き続けやすい職場を目指す。

 この1年は、筋肉質の経営を進めてきた。今後はそこに肉付けし、ファッション企業としての面白さも追求する。その一つとして、路面の神宮前店の改装を11月ごろに計画している。内装の雰囲気を変えたり、顧客向けイベントを開催しやすい店にする。過去の店頭イベントでも、洋服の量の多さよりも楽しい仕掛けが売り上げにつながったことから、良い意味での〝無駄や遊び〟のスペースを充実する方針だ。

企画精度をさらに上げる「ダブルクローゼット」19年秋物


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