【ミラノ=高橋恵通信員】伊競争・市場保護庁(AGCM)は、欧州で「シーイン」の販売サイトを管理するインフィニット・スタイルズ・サービスィーズ(本社アイルランド)に対し、「シーインブランドの衣料品の宣伝、販売において、誤った、または誤解を招くような、環境に関するメッセージや主張(グリーンクレーム)を使用していた」として、100万ユーロの制裁金を科した。同社は先月フランス当局から、製品の持続可能性に関する主張を含む不公正な商行為に対し、4千万ユーロの制裁金を科されたばかり。
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AGCMはシーインがウェブサイトなどで発信した社会的責任と環境保護メッセージに関して、「時にはあいまいで一般的。過度に強調されたり省略されたりと誤解を招くものであった」とした。また、行為の不適切さを評価するにあたり、シーインが「使い捨て」衣料品のような汚染度の高い分野や方法で事業をしていることから、課せられる注意義務がより大きいと強調した。
具体的にはまず「シーインザノウ」に掲載された循環型システムのためのデザインや、製品リサイクルに関する主張は虚偽か、少なくとも混乱を招くものであったとした。また、「エヴォリュシーイン・バイ・デザイン」の衣料品を紹介、説明、宣伝に使用した主張については、製品の全ライフサイクルにおける実質的な環境上の利点が何であるかを明確に述べておらず、併せてこの製品ラインがブランド全体から見ればまだわずかだと明記することなく環境に優しい繊維の使用を過度に強調した点を問題視。「環境に優しい素材のみで作られているだけでなく、このコレクションの製品が完全にリサイクル可能であると消費者に信じさせる可能性があるが、使用されている繊維と現在実施されているリサイクルシステムを考慮するとこれは真実ではない」とした。そのほか、30年までに温室効果ガス排出量を25%削減し、50年までにゼロにするというシーインの発表は、「社会的責任」のセクションで一般的かつあいまいな形で提示されており、23年と24年の事業における温室効果ガス排出量の増加と矛盾していると指摘した。