川上企業、小売業が賃上げ

2015/05/08 05:13 更新


 繊研新聞社のアンケート調査によると、繊維・ファッションビジネスは厳しい環境ながらも一部の企業は賃上げを実施することがわかった。円安を背景に輸出が堅調な合繊メーカーなどの川上企業と、優秀な人材の確保や社員のモチベーションアップを主な目的とする小売業でベースアップに踏み切る。

 4月24日に掲載した「ファッションビジネス景況・消費見通しアンケート」と同時に調査を行い、賃上げに関する質問には127社中31社が答えた。

 31社中20社が賃上げし、内訳は川上企業と小売業で半々。ある合繊メーカーは「今期に最高益をあげることが確実。世間の傾向もあり、増額を決めた」という。別の合繊メーカーも前年より56%増の金額を上乗せする。国内市場が主力の毛織物関連企業は「紳士服地業界はベアを行う環境ではないが、従業員への配慮、社会の要請から必要と考えて実施」し、前年と同額のベアを決めた。

 一方、小売業ではインバウンド(訪日外国人)需要に沸く百貨店を中心に賃上げの動きがみられる。ある百貨店は「業績改善のため」、前年は0だったベアを1000円にする。別の百貨店は前年より80%増額の2400円を上乗せ。「社員のモチベーションを高める」ねらいもあり、「労働組合からの要求に満額回答」した。「現場の営業力強化、組織の活性化、生活維持の観点から、契約社員を対象にベアを実施」した百貨店もある。

 「優秀な人材確保のため」と2000~3500円の範囲で上乗せを決めたアパレル主力の専門店や、「新しい労働力の確保と定着、社員のモチベーションアップ」を目的に1万円の増額に踏み切った靴小売業もある。



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