《視点》ぬいぐるみのお泊まり会

2025/12/10 06:23 更新NEW!


 風景を描いた古いびょうぶ絵と、それを見つめるぬいぐるみの丸い背中。ある美術館のSNSで見つけた写真だ。独特な組み合わせにひかれ、投稿を見ると「ぬいぐるみお泊り会」とある。

 調べると子供の大事なぬいぐるみが、子供の代わりに美術館や図書館に宿泊する取り組みらしい。ぬいぐるみたちは作品を鑑賞したり、館を探検したり、絵本を読んだりする。その姿を撮影して子供と共有し、図書館や美術館、そこで扱う本やアートに親しんでもらおうという狙い。米国の図書館で始まり、その後日本にも広まったようだ。単に作品に興味を持つのとは一味違う、ぬいぐるみの目を通した鑑賞体験で、施設や作品が身近に感じる。自分が大切にしているぬいぐるみならなおさら印象深いはず。

 大人のぬい活では、ぬいぐるみが持ち主を離れ、旅行ツアーを楽しむ姿を撮影・共有してもらうサービスの利用も増えていると聞く。ぬいぐるみを通して疑似的にコンテンツに親しみ、その楽しみ方を再発見する。まだまだ多様な業界へ発展の余地がありそうだ。

(桃)



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