LGBTQ(性的少数者)への配慮から、学生服を詰め襟やセーラー服からブレザー・スラックスへモデルチェンジする学校が増えてきた。学生服が多様化すればその分、サプライチェーンを支える国内メーカーの負担は増える。業界企業もLGBTQへの配慮の必要性に理解を示し、細やかに対応しているものの、心中は複雑なようだ。
ある業界関係者は「入学時期に学生服を確実に届ける。これが物作りのベースにある」と話す。その上で「なるべく無駄な物を作らず、廃棄がないように努めている」とし、環境負荷を抑える工夫を強調した。
一方でLGBTQを旗印に学生服の多様化が進む。生地も製品も種類が増え、受注は小口化する。コスト高や人手不足で苦しむ製造現場にさらなる負荷がかかる。在庫が膨らむリスクもつきまとう。「環境配慮の観点でも時勢に反するのではないか」と指摘する。
別の関係者は「学生服を変えることが先行しているが、LGBTQはそれだけで解決できるテーマではない」とも。単一的な視点で物事が進み、サプライチェーンが疲弊しては元も子もない。持続可能な最適解を、子供たちも含めて模索することが肝要だと思う。
(嗣)