《視点》社交場の価値

2023/09/06 06:23 更新


 先週末、友人に「ボトルを入れているバーがある」と誘われ、連れ立って飲みに出かけた。駅を降りて、徒歩10分。駅前のにぎやかなエリアから外れた場所にある隠れ家的な店だ。

 面白いのはボトルキープを専門にしたバーだということ。カウンターに座るなり、バーテンダーが奥から友人のボトルを取り出し、私たちの前に並べ始める。

 バーでボトルキープというと、90年代生まれの私は体験できなかったバブル時代の大人のたしなみのイメージを持っていたが、友人も含めて客のほとんどが20、30代。それぞれのボトルを自慢げに紹介しながら、一杯ずつ互いに送りあい、テイスティングを楽しむ姿が印象的だった。

 お酒が進めば会話も弾む。経営者やクリエイターの客も多く、いつしか仕事の話も出始め、社交場として機能していた。

 「リアルの場も大事」。コロナ以降、ファッション業界でも繰り返し叫ばれてきたことだ。しかし、まだ〝店と客〟の交流の場に終始する側面が強い。〝客と客〟の服好き同士の交流の場を提供できれば、私たちのリアルの場もより強固なものになるのではないか。まんまと入れてしまった自分のボトルを見つめながら思う。

(夏)



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