久しぶりにオーダースーツを仕立てた。普段スーツを着る機会が少ないので、15年ほど前に既製スーツを買って以来かもしれない。といっても、1着50万円以上するような高級テーラーに行ったわけではない。一般ビジネスマンでも手が届く価格帯でオーダースーツを提供する、多店舗化している専門店だ。
店頭でサイズ見本となるゲージ服を試着して、そこから丈の長さや胴回りなどに細かく補正を加えていく。いわゆるタテ方向の補正が中心のパターンオーダーと、ヨコ方向の補正も可能なイージーオーダーを融合したような仕組み。既製服でフィットするサイズが少ないメタボリックな体形の記者にとっては本当にありがたい。
スーツ市場全般はコロナ禍でビジネススタイルの多様化・カジュアル化が加速し、従来型のテーラードスーツは縮小傾向にある。ストレッチやイージーケアに優れた高機能素材を使ったセットアップが幅広い世代に定着している。Tシャツにジャケットを合わせる姿も当たり前になってきた。
それでもスーツを必要とする人がいなくなることはない。むしろそういう人たちにとっては、自分好みにカスタマイズできるオーダースーツは有力な選択肢になるだろう。記者の周りを見渡してみても、まだまだオーダー未体験者は多い。逆風が続くスーツ市場でも伸ばす余地は大きい。
