暑い夏にどうファッションを楽しむか、悩む人も多いだろう。気温が35度近くの日々が続くと、着られる服も限られる。自分にとって、ここ数年の夏のキーアイテムとなっているのは麦わら帽子だ。それ一つで、Tシャツや半袖シャツがメインになる夏のファッションにアクセントを添えられる。
一口に麦わら帽子といっても、産地や編み方、形状で様々な種類がある。今夏よくかぶっているのは、つばの広さに比べて頭にかぶる部分(クラウン)がかなり高くなったもの。かつて「ヴィヴィアン・ウエストウッド」が出していたマウンテンハットの形を再現したもので、埼玉の職人さんが編んで作ってくれた。実は埼玉県春日部市の伝統工芸品の一つだという。
海外で買った帽子の一つに、モンテクリスティのパナマハットがある。エクアドルのモンテクリスティ地域の工房で製造されたストローハットで、一人の職人が手編みで作り上げたものだ。麦わらの編み目の細かさによって製作時間も職人の技量も変わってくるという。熟練の職人が数カ月かけて作った細かな編み目の帽子は、30万円以上の価格もざらにある。
国内外を問わず、職人たちの手仕事の技を背景にした帽子には特別な魅力が宿る。問題はそうした職人たちの技術をいかに継承していくか。帽子で頭を涼しくして、未来の物作りを考えたい。