あるテレビ番組で、海外に出稼ぎに行く日本人の若者を見た。バラエティーだが、ネットで調べると、他にもこうした視点の番組がけっこうある。20年の厚生労働白書によると、日本の平均給与は92年をピークに上がっておらず、18年はピーク時から年間40万円少なくなっている。一方で物価は上昇中。冒頭のような若者も増えるだろうし、大手企業が先行してベアを掲げるのにも納得がいく。
番組では、若者が日本で身に着けたスキルを生かし活躍している事例を取り上げていた。もちろん誰もがそうなれるわけではないが、例えば富裕層の顧客を持つ米国在住の美容師の話は面白かった。技術はもちろんのこと、器用さやきちょうめんさ、勤勉さといった日本人の特性も信頼されているのだとふと感じた。
世界で評価されるこうした日本の強みは、ファッション産業の中にもたくさんある。だが、海外戦略に成功している企業は相変わらず少ない。日本でビジネスモデルが成功しなければ海外でも通用しないと言われてきたが、これからもそうだろうか。日本は経済成長しておらず、人口減少、高齢化社会に突入。もっと海外で稼ぐ意識を持たなければ、さらに厳しい未来に直面してしまうかもしれない。
(畔)