《視点》楽しくなければ

2022/10/13 06:23 更新


 専門店向け卸メーカーの社長が「やっぱり、楽しくないと続かない」と笑いながら話してくれたのが印象的だった。原材料や人件費などの高騰、終息が見えないコロナ禍など取り巻く環境は厳しい。また、コロナ下では外出を控えたり、家ナカ需要などでカジュアルテイストが増えていた。

 ファッションはわくわく感や楽しい気分になれる魅力がある。ニーズや市場性に合わせた企画も大事だが、もともと「女性の魅力を高める服を提案」していたメーカーでは物足りなさがあったようだ。全体的には購買意欲が低下するなか、価格より気に入った商品、欲しい商品にはお金を払う傾向が見られる。そこで、原価上昇に対して無理に価格を抑える、これまでの価格競争によって優位に立つ施策から、商品価格を上げる動きが強まっている。

 22年秋冬や23年春夏物ではニーズをくみつつも、改めて個性を打ち出す方向に切り替えているメーカーも目立ってきている。消費者はもちろん、作る側のメーカーも楽しくなければ受け入れられない。ブランドらしさが求められている。

(伸)



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