《視点》手で触れられる夢

2022/10/04 06:23 更新


 日本の子供の7人に1人が貧困状態にあり、児童虐待が過去最多を記録するなど、子供を取り巻く社会問題が浮き彫りになっている。子供服業界を取材していると、「困難な状況にある子供たちに何か出来ないか」と話題になることも多い。

 ファッションに何が出来るだろう。そんな思いを持って、子供支援などのNPO(非営利組織)が集まるイベントを訪れた。自立援助ホームや女性向けシェルターを運営するあるNPOでは、いくつかのファッション企業から服の寄付があるという。

 支援対象の15~20歳にとって、ファッションは大きな関心ごとの一つ。その理事長は、「子供たちにとってファッションは夢であり希望。目で見て手で触ることができる夢なのかもしれない」と服が持つ力について語ってくれた。服が売れない、環境負荷が大きい産業と、服に関してマイナス面の話題が多いが、改めて服そのものの可能性に気付かされた言葉だった。

 一方で気になったのは、服を寄付している企業のラインナップが、子供たちがワクワクするものとミスマッチがあるように感じたこと。その溝が埋められると、子供たちに本当に喜んでもらえる支援になるはずだ。

(金)



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