《視点》進むローカル企画

2022/08/25 06:23 更新


 真夏の東京に、迫力のある広告がお目見えした。モデルは北野武。麻雀を打つうらぶれた風体は色気がムンムンで、思わず目を奪われた。広告主は「ロエベ」。スペインのラグジュアリーブランドと、日本を代表する映画監督・芸人という意外なタッグに、また驚いた。

 ロエベの22年秋冬のメンズキャンペーンの一環。セレクトショップのGR8と協業して、ジャパン社がローカルで企画した。撮影したのは、写真家リュウ・イカ。モデルは北野のほか、村上虹郎や柄本時生といった個性派が脇を固めた。写真が放つ猥雑(わいざつ)でダークな雰囲気は日本特有で、メンズ初の期間限定店はいつもとは一味違うカオスなムードとなった。

 ローカル企画は、通常の本国企画では見ることができないブランドの意外な一面に気づかされる。今回のロエベ×北野武の広告も、「激シブ」「ほれる」と話題となった。ロエベは女性ファンの方が多いが、男性ファンも増えたに違いない。ちなみにロエベ×スタジオジブリの協業企画第2弾も好評で、今年の「千と千尋の神隠し」企画には通常来店しないような若い男女が集っていた。

 海外ブランドのローカル企画は他でも今後、さらに進みそう。日本企画を海外に発信すれば、新しい化学反応も期待できる。新たな魅力を掘り起こす可能性を秘めている。

(規)




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