《視点》間違いファクス

2021/02/10 06:23 更新


 年に1、2回は心当たりのないファクスが自宅に届く。似たような番号の会社があるのだろう。毎回同じ会社あてだ。たった一つの数字の押し間違いで、目的の相手ではなく、関係のない我が家に届く。見積書だったり進捗(しんちょく)報告書だったり、大事なものかどうか、判断できないため、いつも対処に困る。

 数字一つ多い、少ないことで大騒動したという話はよく耳にする。発注書の数量を1ケタ多く書いてしまい、売りさばくのに苦労したとか、折り込みチラシに1ケタ少ない値段を記載してしまい、その価格で提供できる商品を必死でかき集めたとか。チェックしたつもりが、どこかに見落としがあったのだろう。笑い話ですめばいいが、先行きの見通せない不安定な時代、注意を怠った行動が取り返しのつかない事態を招くこともある。

 先日、持ち上げるつもりで「さすが策士」と言ったところ、相手には「サギ師」と聞こえたらしく、とりなすのに苦労した。ただでさえ、マスク着用での会話は伝わりにくい。口頭での指示や報告が相手に正確に届かなかったら。機嫌を損ねてしまうだけならまだしも、不正確な情報が大きな損失につながる可能性もある。

(原)



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