《視点》宿題

2020/07/28 06:23 更新


 15年の日本の総人口は1億2709万人、30年の総人口予測は1億1912万人と減少し、65歳以上は26.6%から31.1%に上昇する。いわゆる少子超高齢化となる「2030年問題」の足音を感じる人が多くなってきた。

 広い世代から支持を得る某セレクトショップのオーナーは「ファッション業界は大量生産と売り場面積拡大で発展してきた」と指摘し、「もうその時代ではない」と断じる。人口が減るのに、生産品や売り場が増え続ける現状から、将来に不安を抱かない方がおかしいと自分も思う。

 価値観が多様化し、売り上げ規模が大きいことへの憧れも薄れてきた。過剰生産、大量廃棄の悪循環から脱しようとする動きは人口減少とともに進むだろう。売れ残り前提で多く作るより、確実に売るだけの量を作る仕組みに力点を置き、減収しても利益を重視する政策に切り替える企業も増えるように思う。

 わかっているのにできなかったことを、ようやく実行に移しだしたようにも見える。夏休み最後の日の宿題のようだ。

(樹)



この記事に関連する記事