20~21年秋冬テキスタイル商戦が立ち上がるなかで、服地コンバーター各社からはアパレルの店頭をはじめとする市場の悪さを指摘する声が相次いでいる。トップや現場から「リーマンショックや東日本大震災後を上回る冷え込みを実感している」という声が出るほど、半端ない厳しさに直面している状況がうかがえる。
悪化の理由はいろいろ考えられるが、従来から指摘されている気候変動要因だけでなく、自然災害や消費増税など、この間の出来事も重なり、「複合的な要因で消費マインド全般にブレーキがかかっているようだ」とする見方が多い。
一方で、厳しい局面にこそチャンスとみる声は常にある。今の市場で売れ筋は見極めにくいが、「こうした状況でも動いている素材こそが必要とされる商材であり、求められる物が見えてきた」という企画担当者の来秋冬商戦の見通しには力強さが感じられた。
折りしも市場では環境配慮が注目のキーワードの一つに浮上している。無駄な物を大量に作らず、必要とされる物を必要なだけ作る基本スタンスが、これからの商機につながるのかもしれない。
(阿)