多くの企業が「サステイナビリティー(持続可能性)を強化する」と言う。彼らの言うサステイナビリティーとは、自然環境への負荷を抑えた物作りや仕組みを指すことが大半だ。
具体的には例えば、リサイクル素材や無農薬のコットンなどの使用。最近だと、大手企業によるSDGs(持続可能な開発目標)にひも付けた取り組みのアピール合戦も盛ん。海洋プラスチックごみ問題への関心も高く、買い物袋の有料化や紙への切り替えに動いている。
一方、サステイナビリティーを考える上で、企業にとって最も大事なことがおろそかになっていないか。自然環境の保全は重要な課題だが、まずは身の回りに気を配り持続可能性を追求するべきだ。従業員や取引先、消費者、地域社会まで会社を支える人たちとの共存がなければ事業のサステイナビリティーは成し得ない。
例えば、取引先へ過度なコスト負担を強いるなどフェアではない取引がいまだに横行している。そのしわ寄せは国内外の製造現場にも及ぶ。「本当にサステイナビリティーか?」。一度立ち止まって考えてみる時ではないだろうか。
(嗣)