《視点》突き動かす力

2019/04/24 06:23 更新


 「服が売れなくなった」「自分自身、以前と比べてファッションに関心を引かれない」といった声を日頃の取材で聞く。確かに、消費マインドは大きく変化している。トレンド感がある服を手頃な価格でさっと買える今、服への興味が薄れてしまっている。

 一方で、ファッションや服作りが好きでたまらないといった人も絶えずちゃんといる。取材をしていると「こういう服が作りたい」とか、「今、全体的にファッションって元気がないけれど、やっぱり服を作り続けたい」「業界をこういう風に盛り上げたい」と静かに燃える思いを真剣にぶつけてくれる。 

 うれしいのは、そういう話をしてくれるのが若い世代や新興ブランドだということ。ビジネスはまだまだ未熟、厳しいとは口にするが、好きな服の話をする表情は明るい。

 好きな気持ちだけでビジネスはできないが、自分の感性や直感を十分に生かせる。ファッションが突き動かす力、高揚感を大事に、「ファッションってやっぱり楽しいよね」という共感の輪が広がっていけばと願う。

(麻)



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