2月から3月にかけて服飾系専門学校で、卒業生の作品発表を見る機会が多くあった。ある学校の卒業作品審査会の講評で「物作りの考え方や捉え方の変化、今の若い人のメッセージを感じた。以前はパリ・コレクションに出て、自作を発表することを最終目標とする学生が多かった。最近は異なる方向を目指す学生が増え、価値観の多様化を実感する」という話を聞いた。その審査員は「社会のデジタル化とインターネットの普及を背景に、個人のアイデアや自分が好きなことを形にしやすくなり、気に入って買ってくれる人がいればビジネスが成り立つ時代になった。狭い分野が対象でも、好きな人が好きな物を買う形で売買が成立すればいい時代。新しいビジネスチャンスが生まれている」と現状を分析していた。
同校ではアパレル業界などでデザイナーやパタンナー、縫製の仕事に就く卒業生が多いなか、今春はアイドル事務所やゲーム会社に就職した人が登場。ブランドを構築する総合力が評価され、アイドルやゲームキャラクターの衣装制作を任される予定だそうだ。好きな世界で自分の能力を生かし、進路を切り開くたくましい若者たちに、広い分野での活躍を期待したい。
(陽)