《視点》マヨネーズがうらやましい

2019/04/05 06:23 更新


 「マヨネーズがうらやましい」――テキスタイルメーカーの担当者と話した際、こんな言葉がもれてきた。話題は〝値上げ〟についてだ。原料の食用油が高騰した07年以降、国内食品大手はマヨネーズをたびたび値上げしている。マヨネーズは大手の市場シェアが高く、生活必需品と言えるほど一般家庭に浸透しているため、消費者も値上げを受け入れざるを得ないのだろう。食品は総じて同じような事情で、値上げが通りやすい業界と感じる。

 対して繊維・アパレルはどうか。天然繊維、合成繊維ともに原料価格は上昇し、染色、物流、海外縫製工賃などあらゆる段階でコストが上がっているにもかかわらず、服の小売価格はなかなか上がる気配がない。

 消費者からすれば安いに越したことはない。「消費者ニーズ」と言ってしまえばそれまでだが、コスト上昇分が中間業者にしわ寄せされているとすれば、果たしてこの業界はサステイナビリティー(持続可能性)があるのだろうかと疑問に思う。消費者ニーズという言葉で思考停止せず、解決策を考える時ではないか。

(恵)



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