《視点》選ばれるコートを

2019/04/03 06:23 更新


 秋冬コートはその年の気候によって需要の増減が顕著になってきた。特にアパレルは着たいと思わないと買わないという傾向が強くなっている。18~19年秋冬は全体に気温が高く、立ち上がりから動きが鈍かったが、実需期の盛り上がりにも欠けた。

 気候を正確に予測するのは無理だろう。ただ、コート全体の需要が減ると、同じものを作っていれば各社のシェアも等分に小さくなるが、実際は一様に減ることはありえない。需要が減っても選ばれる商品を提供することでシェアを高めることができる。

 年によって気候が変動するので、前年の反省をそのまま翌年のMDに反映させると、ずれが大きくなってしまうことにもなる。気候に対応することは大事だが、選ばれる商品を提供することがまずは大切だろう。ブランドの強み、価値の高い物作りを追求することではないか。

 「セオリー」では18~19年冬、柔らかいラインのラグランスリーブコートが非常に好評だった。奇をてらったものではなく、シンプルだがシルエットに鮮度があり、つい手にとってしまう客も多く、人気だった。前年の売れ筋の後追いや踏襲でなく、鮮度や独自性も感じ、素材や機能に価値を感じる企画に仕上げられるか。今年のコートMDの準備が既に始まった。

(武)



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