ブランドタグや印刷資材のメーカー各社がICタグの供給に力を入れている。「需要はまだまだ増える」としてアパレル生産地の拡大に合わせ、日本から中国、ベトナム、さらに東南アジアへと供給拠点が広がりを見せる。
需要増となる背景には、ICチップの値下がりで導入しやすくなった側面もあるが、メーカーによると、最近目立つのが人手不足に伴う「物流部門の省力化やコスト削減」のニーズがあるそうだ。「生産部門では製造コストの増加になり抵抗があるが、物流部門ではコスト圧縮の手段として理解されやすい」という。
需要はアパレル以外にも広がっている。洗濯管理や紛失防止の一環でリネン業界なども注目する。国内ではアパレルに限らず人手不足が様々な業界で深刻になっており、用途開発の余地も広いと見られる。
その一方で、「技術進歩が目覚ましい分野だけに、導入した設備やシステムが陳腐化するリスクもある」とし、生産・販売拠点の拡大や設備投資に慎重姿勢を崩さないメーカーもある。流れを見極めながらも、需要と供給の拡大がしばらく続きそうだ。
(阿)