染料の不足や高騰が続く国内染色加工業。この間、特に短繊維染色工場を回る機会が多く、「キーインダストリーと言いつつもみんな値上げに応じてくれないし、本当は必要とされていないのではと感じる時もある」との声をしばしば耳にした。
規模の縮小で余った工場跡地を貸すなど、賃貸収入で苦境をしのいでいる企業も多く、「もうからないならやめてしまおう」と考える経営者がいても何ら不思議ではない。顧客に「もし国内から染色がなくなりそうになったらどうします」と聞いたところ、「そしたら海外でやるから大丈夫じゃない？」と他人事のように言われたこともあったという。
しかし、「じゃあ海外で」が、これからはうまくいかないかもしれないのが今回の染料価格の高騰や品不足だ。こうした問題は世界共通であり、人件費、物流費も引き続き上昇している。品質面でも国内と全く同じとはいかないだろう。環境規制など消費者の目もますます厳しくなる昨今、染色の抱える課題は決して他人事ではない。
（騎）
