「ある種の高揚感が生まれるだろう。それを大事にしたい」。大手小売業のトップは19年の追い風の一つに新天皇の即位を挙げる。それが消費にどんな影響があるか実際は分からないが、統計の不正で怪しくなった実感のない好景気が続くもと、新たな時代の幕開けに期待したいところだ。
ところが新たな元号の発表は即位の1カ月前だという。これでは「大事にしたい」といっても店頭で表現するのは難しそうだ。生活に組み込まれている元号が変わるのにどうしてか、という違和感もある。チラシなどを刷る印刷会社からは「1カ月しかないのか」といった嘆きが聞こえてきそうだ。
昭和天皇が亡くなられて始まった平成と違って、今回は現天皇の生前退位に伴うものだから、周知や準備の期間を十分にとることは難しいようには思えない。それなりに理由はあるのだろうが、何ともおかしな話だと思う。
そこかしこで「1カ月前っておかしいよね」と聞くが、大きな声になっていないのも不思議なところ。いわゆる同調圧力か。やっぱり言いにくい分野だからか。でも困るから困ると言ってみたい。
(光)