《視点》もったいない

2018/12/28 06:23 更新


 掛け布団がだいぶくたびれてきたので、久々に寝具売り場を回ってみた。なぜか、量販店の寝具売り場にあったのは、中わたが羽毛やポリエステルのものが多く、ウールの掛け布団も一部あった。一方、街中の小さな寝具店には綿のものしか置いていなかった。

 店主のおばあさんに「なぜ綿の掛け布団しか扱わないのか」と聞いたのをきっかけにいろいろ話していると、「古い布団は絶対に捨ててはいけない。もったいない」といわれた。その店では古い布団を持ち込むと、わたを打ち直して新しい布団に仕立て直してくれるという。

 記者の掛け布団は数十年使い込んで、既に中わたはぺったんこ状態。こんなものでも仕立て直してくれるのかと思いつつ、その店に持ち込んだ。店主は「わたを足して、側地を新しいものに替える」という。でき上がったものは持ち込んだときの倍のかさになり、みちがえるようだった。

 新品を売ろうとせずに、古い布団の再利用を強く勧めた専門店の店主に感心するとともに、これぞ専門店というその強みを改めて感じた。

(尊)



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