《視点》OEMの構造変化

2018/09/28 06:23 更新


 アパレル生産を支えているOEM(相手先ブランドによる生産)。そのOEMの担い手である、専業のOEM企業各社が、「かつてないほどの苦況」にさらされている。

 小売店頭が振るわないだけでなく、「何かが変調をきたしている」のだ。ある婦人服主力のOEM企業は「アパレル業界で進行していた中間ゾーンの縮小が極限まできた」と指摘する。

 アパレル業界をピラミッドとするならば、ハイファッションを頂点として、アッパー、ベター、ボリュームと数量が多くなりながら底辺に至る。アッパーやベターが中間ゾーンだが、このゾーンの生産は素材や生産管理のノウハウを持つ専業が得意としてきた。その中間ゾーンが細っているのだ。別のOEM企業は「アパレル業界はハイファッションとボリュームに二極化している」と強調する。

 ハイファッションは市場が小さく、数量がまとまるボリュームは「海外企業との直貿スタイルが多くなっている」とも聞く。多品種少量で短納期のデザイン物の多くを支えてきた専業のOEM企業の苦戦の裏には、アパレル生産の構造的な変化を感じる。

(浅)



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